キャンプ場で出会ったやさしいおじさんから学んだこと

こんにちは。アウトドア好きのピッピです。
今回は、私がとあるキャンプ場で出会った一人のやさしいおじさんとの出来事について書こうと思います。

この話は、私のアウトドア経験の中でも特に印象的な思い出であり、
そして、人生においても大切なことをそっと教えてくれた出来事でした。


はじめてのソロキャンプで戸惑っていた私

当時の私は、ソロキャンプを始めたばかり。
道具も揃えたばかりで、キャンプ場へ行くのもようやく2回目という初心者中の初心者でした。

その日選んだのは、山間にある静かなキャンプ場。
平日ということもあり、テントサイトには数組しかいませんでした。

受付を済ませ、意気揚々とテント設営に取りかかる私。
…が、予想以上にうまくいかない。

説明書を見ても、ペグがどこに入るのかよく分からない。
風が吹けばシートがめくれ、ロープの張り方もまるで違っていたようで、テントが傾いてしまいます。

焦りと恥ずかしさで、だんだん心が沈んでいくなか、
「お、手伝おうか?」と声をかけてくれたのが、やさしいおじさんでした。


笑顔で近づいてきた、一人のベテランキャンパー

年の頃はおそらく60代。
シンプルな服装にキャップをかぶり、手にはキャンプ用の軍手。
道具はコンパクトにまとまっていて、一目で慣れている人とわかる佇まいでした。

「大丈夫ですか?」と聞かれ、「ちょっと苦戦してて…」と正直に答えると、
「俺も最初は同じだったよ〜。この手のテント、クセあるからね」と笑いながら、手を貸してくれました。

その手つきは実に自然で、無駄がありませんでした。
あっという間に、私のテントがきれいに立ち上がっていく様子は、まるで魔法のよう。

「ロープの角度は45度くらいがちょうどいい」とか、
「ペグは地面に対して斜めに打ち込むと抜けにくい」とか、
ひとつひとつの動作に理由があることも、丁寧に教えてくれました。


火を囲んで語った、キャンプと人生の話

設営が落ち着いたあと、「コーヒー淹れたけど飲む?」と誘っていただき、
私はお礼も兼ねて、おじさんのサイトを訪れました。

焚き火の炎が揺れる前で、ふたりで並んで腰を下ろしながら、コーヒーを飲みました。
豆は自家焙煎だそうで、香りが豊かで深みのある味。

「俺は定年してからキャンプを始めたんだよ」と、おじさんは語り始めました。

最初は奥さんと一緒に来ていたけれど、今は一人で全国を旅しながら、キャンプを楽しんでいるのだそうです。

「若い頃はね、ずっと時間に追われてたよ。仕事も、家のことも、全部ちゃんとやらなきゃって。でもね、ここで焚き火を見てると、何も急ぐ必要なんてなかったんだなって思うんだ」

その言葉が、静かな夜空にじんわりと染み込んでいくようでした。


自然の中にいると、人は素直になれる

おじさんは多くを語るタイプではありませんでした。
でも、一言ひとことに重みがあり、押しつけがましくなく、心に残る話ばかりでした。

「キャンプって、自然と自分の間に何も挟まらない時間なんだよな」
「焚き火を見てると、心が整うっていうかさ」

私は、うんうんとうなずきながら、ただその時間を味わっていました。

ふと、都会の生活を思い出しました。
時間に追われ、スマホを片手に、気づけば一日が終わる。
それに比べて、今この瞬間は、ものすごく生きている感じがする。

「人ってね、自然の中にいると、素直になれるんだよ」
その言葉に、私は思わず深くうなずきました。


翌朝、静かに帰っていたおじさん

翌朝、私は早めに目が覚め、周囲を見渡しましたが、おじさんのサイトはすでに撤収されていました。

きれいに片付けられた場所には、ひとつのごみもなく、焚き火の跡も水で消され、
「またどこかでな」と書かれた小さなメモが、木の枝にそっと挟まれていました。

なんだか、映画のワンシーンのような出来事。
ほんの一晩の出会いなのに、私にとってはとても大きな学びでした。


キャンプは、人と出会い、自分を見つける場所

この体験を通じて私が学んだのは、キャンプがただの「レジャー」ではないということです。
自然の中に身を置き、知らない人と出会い、語らい、時には教え合い、
そのすべてが、心をじんわりと温めてくれます。

そして、あのやさしいおじさんのように、
自分もいつか誰かの手助けができるようになりたい。
そんなふうに思うようになりました。


まとめ│人生に迷ったときは、火を囲んでみよう

都会では、知らない人に声をかけることすらためらわれるこの時代。
でも、キャンプ場では不思議と、人と人との距離が縮まります。

火を囲むだけで、心が開く。
自然に触れるだけで、自分が素直になれる。

そんな体験を、ぜひあなたにもしてほしいと思います。

そして、いつかあなたのそばに、
やさしいおじさんのような存在が現れたら——
きっとそれは、アウトドアがくれた最高のご褒美かもしれません。

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